目の病気に関するお悩み
網膜(もうまく)とは
目次
網膜とは

網膜は、眼球のもっとも内側を覆う、薄い膜状の神経組織です。厚さは約0.2〜0.3mmしかなく、眼球の内面にカーテンのように貼り付いています。目をカメラに例えると、角膜・水晶体がレンズ、虹彩が絞り、網膜がフィルム/センサー(CCD)にあたります。どれほど良いレンズがついていても、フィルムが傷んでしまえば写真はきれいに写りません。視力を保つうえで、網膜は極めて重要な役割を担っています。
網膜の構造と役割
網膜は顕微鏡で見ると約10層の細胞層から成り立っています。なかでも「光を感じ取る細胞」である視細胞(しさいぼう)は2種類あります。
・桿体細胞(かんたいさいぼう):暗いところでの見え方(明暗・動き)を担う細胞。網膜の周辺部に多く分布しています。
・錐体細胞(すいたいさいぼう):明るいところでの見え方(色・細かな形)を担う細胞。網膜の中心部(黄斑)に集中しています。
これらの視細胞が受け取った光の情報は、網膜の中で電気信号に変換され、視神経を通じて脳に伝えられます。
・桿体細胞(かんたいさいぼう):暗いところでの見え方(明暗・動き)を担う細胞。網膜の周辺部に多く分布しています。
・錐体細胞(すいたいさいぼう):明るいところでの見え方(色・細かな形)を担う細胞。網膜の中心部(黄斑)に集中しています。
これらの視細胞が受け取った光の情報は、網膜の中で電気信号に変換され、視神経を通じて脳に伝えられます。
黄斑・中心窩・周辺網膜
| 部位 | 位置 | 役割 |
|---|---|---|
| 中心窩(ちゅうしんか) | 黄斑の中心(直径約1.5mm) | 視力のもっとも鋭い部分。文字を読む・顔を見分けるなど細かい視覚を担う |
| 黄斑(おうはん) | 網膜の中央、黄色がかった部分 | 中心視力と色の識別を担う最重要部位 |
| 周辺網膜 | 黄斑の外側、網膜の大部分 | 視野の広がりや暗所・動きを感じる |
硝子体と網膜の関係

網膜の内側、眼球の中身を満たしているのが硝子体(しょうしたい)という透明なゼリー状の組織です。硝子体は眼球の形を保ち、内側から網膜を支える役割を果たしています。加齢とともに硝子体は少しずつ縮んで水のようにサラサラになり、網膜から離れていきます。これを後部硝子体剥離と呼びます。このとき硝子体が網膜を引っ張ると裂孔や出血、網膜剥離につながることがあります。
こんな症状はありませんか?
以下のような症状は、網膜のどこかに異常が起きているサインかもしれません。網膜疾患は進行すると視力や視野に大きな影響を及ぼすため、気になる症状があれば早めに眼科を受診してください。
- 急に黒い点や糸くずのようなもの(飛蚊症)が増えた
- 視界の端に光が走って見える・ピカッと閃光が見える(光視症)
- 物が歪んで見える、まっすぐな線が波打って見える(変視症)
- 視野の一部が欠けて見える、カーテンがかかったように見える
- 視界の中心がぼやける・暗く見える・文字が読みにくい
- 急に視力が低下した、視界が真っ赤になった
- 糖尿病と診断され、目の検査をすすめられた
- 健診で「眼底出血」「網膜のむくみ」「黄斑の異常」を指摘された
- 強度近視で、将来の目の病気が心配
網膜に関わる主な病気
網膜に関わる病気は種類が多く、症状の出方・進行のスピード・治療の緊急度も疾患ごとに大きく異なります。なかには放置すると失明につながるものもあれば、気づかないうちに少しずつ視力を奪っていくものもあります。代表的な網膜疾患の概要と、各疾患の詳しい解説ページへの導線をご案内します。
網膜剥離(もうまくはくり)

網膜が眼球の壁からはがれてしまう病気です。はがれた部分は光を感じ取れなくなり、放置すると失明に至ることもある、網膜疾患のなかでも緊急性の高い疾患です。急に飛蚊症が増えた、視界の端に光が走る(光視症)、視野の一部にカーテンや黒い影がかかったように見える症状はサインです。
糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)

糖尿病の合併症のひとつで、高血糖により網膜の毛細血管が障害される病気です。日本における成人の失明原因の上位に挙げられ、単純網膜症から増殖網膜症へと段階的に進行します。初期は自覚症状がほとんどなく、進行すると視力低下、物の歪み、硝子体出血による突然の視力低下が起こります。
加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)

加齢に伴い黄斑(網膜の中心部)に異常が起こる病気で、視力の中心が見えにくくなる疾患です。視界の中心が歪んで見える、中心が暗く欠けて見える、色が識別しにくい、文字が読みにくいといった症状が特徴です。進行のゆるやかな「萎縮型」と、出血や浮腫を起こす「滲出型」に分類されます。
飛蚊症(ひぶんしょう)

明るい場所や白い壁を見たときに、黒い点・糸くず・虫・輪のようなものが視界に浮かんで見える症状です。視線を動かすと一緒に動くのが特徴です。加齢による生理的なものが多い一方で、急に数が増えた・形が変わった・光視症を伴う場合は、網膜裂孔・網膜剥離・硝子体出血のサインのことがあります。
硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)

硝子体の中に血液が流れ込んだ状態です。病気そのものというより、糖尿病網膜症・網膜裂孔・網膜静脈閉塞症など別の眼疾患が原因で起こる症状であり、背景にある病気の特定が重要です。黒い点や糸くずのようなものが急に見える、赤い霧がかかったように見える、重症例では視界が突然真っ赤になる・ほとんど見えなくなる症状が現れます。
網膜の検査方法

症状や目の状態に応じて以下の検査を組み合わせ、網膜の状態を総合的に評価します。眼底検査(がんていけんさ)で網膜・視神経・網膜血管・黄斑の状態を直接観察、OCT(光干渉断層計)で網膜の断面をミクロン単位で撮影、蛍光眼底造影で血管の流れや漏れを評価、視野検査で見えている範囲を調べます。超広角眼底撮影は周辺部の網膜裂孔や出血の発見に役立ちます。
網膜に異常を起こしやすい方
網膜疾患は誰にでも起こる可能性がありますが、特に次のような方は発症リスクが高く、自覚症状がなくても定期的な検査をおすすめします。
- 年齢(加齢):50歳以上で加齢黄斑変性・黄斑前膜・後部硝子体剥離に伴う網膜裂孔のリスクが上昇
- 強度近視の方:眼軸が長いほど網膜が薄く引き伸ばされ、網膜裂孔・網膜剥離・近視性黄斑変性のリスクが高くなる
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症のある方:糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜血管障害のリスクが上昇
- 外傷歴・目をぶつけた経験がある方:後になって網膜裂孔や網膜剥離を起こすことがある
- 家族歴のある方:網膜剥離・加齢黄斑変性・遺伝性網膜疾患は血縁者に経験者がいるとリスク上昇
- 喫煙者:加齢黄斑変性の最大の修正可能なリスク要因
網膜の病気を予防するためにできること

網膜疾患には加齢や遺伝など避けられない要因もありますが、生活習慣と定期検診によってリスクを下げることは可能です。禁煙(加齢黄斑変性・糖尿病網膜症・網膜血管疾患すべてのリスクを下げる)、血糖・血圧・コレステロールの管理、紫外線対策(UVカット眼鏡・帽子)、バランスの良い食事(緑黄色野菜のルテイン・ゼアキサンチン、魚のDHA・EPA)、強度近視の方は自覚症状がなくても定期的な眼底検査を。
まとめ
網膜は一度傷むと元に戻りにくい、とても繊細な組織です。だからこそ早期発見・早期治療が視力を守る最大の鍵となります。飛蚊症・光視症・視野の異常・物の歪み・中心の見えにくさ──こうした症状は「年のせい」で片付けず、一度眼科で検査を受けていただくことをおすすめします。また、糖尿病・高血圧・強度近視など網膜疾患のリスクが高い方は、自覚症状がなくても定期的な検査を心がけてください。
相模原眼科では、院長 岡野 喜一朗(日本眼科学会 眼科専門医)が丁寧な検査と診断のもと、患者さまお一人おひとりの状態に応じたご説明・治療方針のご提案を行います。
相模原眼科では、院長 岡野 喜一朗(日本眼科学会 眼科専門医)が丁寧な検査と診断のもと、患者さまお一人おひとりの状態に応じたご説明・治療方針のご提案を行います。
網膜疾患の早期発見の重要性
網膜は一度傷んでしまうと、再生が難しい神経組織です。視細胞そのものは成人になってからの再生能力が限られており、障害を受けた部位の機能は取り戻しにくいという特徴があります。だからこそ、網膜疾患では「いつ気づくか」が視力の行方を大きく左右します。
網膜剥離・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・網膜静脈閉塞症・黄斑円孔といった代表的な網膜疾患は、初期のうちは自覚症状がほとんどなく、進行してから視力低下や視野の欠け、物の歪みに気づくケースが多く見られます。眼底検査やOCT(光干渉断層計)による定期的なチェックを行うことで、症状が出る前の段階で異常を捉えられる可能性が高まります。
特に次に当てはまる方は、自覚症状がなくても定期検査をおすすめしています。糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を指摘されている方、強度近視で眼鏡やコンタクトの度数が強い方、50歳以上の方、家族に網膜剥離や加齢黄斑変性の方がいる方、過去に目を強くぶつけた経験がある方などです。早期に発見できれば、レーザー治療・抗VEGF薬治療・手術など、状態に合わせた治療選択肢が広がります。
網膜剥離・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・網膜静脈閉塞症・黄斑円孔といった代表的な網膜疾患は、初期のうちは自覚症状がほとんどなく、進行してから視力低下や視野の欠け、物の歪みに気づくケースが多く見られます。眼底検査やOCT(光干渉断層計)による定期的なチェックを行うことで、症状が出る前の段階で異常を捉えられる可能性が高まります。
特に次に当てはまる方は、自覚症状がなくても定期検査をおすすめしています。糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を指摘されている方、強度近視で眼鏡やコンタクトの度数が強い方、50歳以上の方、家族に網膜剥離や加齢黄斑変性の方がいる方、過去に目を強くぶつけた経験がある方などです。早期に発見できれば、レーザー治療・抗VEGF薬治療・手術など、状態に合わせた治療選択肢が広がります。
受診のタイミング(症状別の目安)
| 症状 | 受診の目安 | 想定される疾患 |
|---|---|---|
| 急に増えた飛蚊症・光視症 | 当日〜数日以内に受診 | 網膜裂孔・網膜剥離・硝子体出血 |
| 視野の一部がカーテンのように欠ける | できるだけ早く受診 | 網膜剥離・網膜静脈閉塞症 |
| 物が歪んで見える・まっすぐな線が波打つ | できるだけ早く受診 | 加齢黄斑変性・黄斑前膜・黄斑浮腫 |
| 視界の中心が暗い・ぼやける | 1〜2週間以内に受診 | 黄斑疾患・糖尿病黄斑浮腫 |
| 突然の視力低下・視界が真っ赤 | 当日中に受診 | 硝子体出血・網膜動脈閉塞症 |
| 健診で眼底異常を指摘された | 1か月以内に受診 | 糖尿病網膜症・高血圧性網膜症など |
| 自覚症状なし・糖尿病や強度近視 | 年1回の定期検査 | 糖尿病網膜症・網膜裂孔など |
上記はあくまで一般的な目安です。症状の強さや既往症、生活背景によって推奨される受診タイミングは変わります。判断に迷うときは、お気軽にお電話・WEB予約からご相談ください。
相模原眼科の網膜検査機器
相模原眼科では、網膜疾患を詳細に評価するための検査機器を複数組み合わせて用いています。眼底の形状・断層構造・血流・視野・周辺部の状態を多角的にとらえることで、診断の精度向上と患者さまへのわかりやすいご説明を目指しています。
| 検査機器 | できること | 主な対象疾患 |
|---|---|---|
| OCT(光干渉断層計) | 網膜の断面を非侵襲でミクロン単位で撮影。黄斑部のむくみ・網膜剥離・黄斑円孔・前膜などの微細変化を可視化 | 加齢黄斑変性/糖尿病黄斑浮腫/黄斑前膜/黄斑円孔/中心性漿液性脈絡網膜症 |
| 超広角眼底カメラ | 無散瞳でも広範囲の眼底を1枚の画像で撮影可能。周辺部の網膜裂孔・出血・変性病変の発見に役立つ | 網膜裂孔/網膜剥離/糖尿病網膜症の周辺病変/網膜静脈閉塞症 |
| 眼底カメラ(カラー撮影) | 眼底の状態をカラー写真で記録し、経時変化を比較観察。患者さまへの説明資料としても活用 | 糖尿病網膜症/高血圧性網膜症/加齢黄斑変性/視神経疾患 |
| 静的視野検査(自動視野計) | 中心・周辺の視野感度をマッピングし、視野欠損・感度低下の範囲を定量化 | 緑内障/網膜色素変性/網膜剥離/視神経疾患 |
| 細隙灯顕微鏡+眼底レンズ | 立体的に眼底を観察し、網膜・硝子体・視神経乳頭の状態を評価 | 網膜剥離/硝子体疾患/視神経疾患全般 |
| 眼圧測定 | 眼球内の圧力を測定。網膜疾患に合併する緑内障や血管新生緑内障のスクリーニング | 緑内障/血管新生緑内障/ぶどう膜炎 |
症状や病状に応じて必要な検査を組み合わせ、過不足のない検査計画をご提案します。詳しい病状によっては、蛍光眼底造影検査や網膜硝子体手術など、より専門的な検査・治療が必要になる場合があります。相模原眼科では、診察結果をもとに患者さまへ丁寧にご説明したうえで治療方針を決めていきます。
よくあるご質問
網膜の病気・検査についてよくいただくご質問にお答えします。個別のご相談は診察時にお気軽にお尋ねください。
- Q. 網膜の病気は初期症状がなくても心配ですか?
- A. 網膜の病気の多くは初期段階では自覚症状が出にくいという特徴があります。糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・緑内障などは、視力や視野の異常を自覚したときにはすでに進行しているケースも少なくありません。40歳を過ぎた方、糖尿病・高血圧・強度近視のある方は、自覚症状がなくても年に1回程度の眼底検査をおすすめします。
- Q. 飛蚊症は全て病的なものですか?
- A. 飛蚊症の多くは加齢に伴う生理的なもので、経過観察で問題ないケースが大半です。ただし、急に数が増えた・形が変わった・視界の端に光が走る(光視症)を伴う・視野の一部が欠けるといった変化があるときは、網膜裂孔・網膜剥離・硝子体出血のサインであることがあります。こうした症状がある場合はお早めにご相談ください。
- Q. 何歳から眼底検査を受けるべきですか?
- A. 目安として、40歳を過ぎたら一度は眼底検査を受けていただくことをおすすめします。加齢黄斑変性・緑内障・糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症などは40〜50代以降に増えてくる病気です。糖尿病・高血圧・強度近視・家族歴のある方は、年代にかかわらず定期的な検査をご検討ください。
- Q. 強度近視ですが、何か気をつけることはありますか?
- A. 強度近視の方は眼球が長く伸びているため、網膜が引き伸ばされて薄くなっており、網膜裂孔・網膜剥離・近視性黄斑変性・緑内障のリスクが通常より高くなります。自覚症状がなくても、年に1回を目安に眼底検査を受けていただくことをおすすめします。飛蚊症が急に増えた、光が走って見える場合は早めにご受診ください。
- Q. 網膜の病気は完治しますか?
- A. 疾患や進行度によって見え方の回復には差があります。網膜剥離のように手術で網膜を復位できれば視力の回復が見込めるケースもあれば、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症のように継続的な治療で進行を抑えることが中心となる疾患もあります。いずれの場合も早期発見・早期治療が視力の温存につながりますので、気になる症状があれば早めにご相談ください。
- Q. 糖尿病ですが、どのくらいの頻度で眼底検査が必要ですか?
- A. 糖尿病と診断されたら、自覚症状の有無にかかわらず眼科で眼底検査を受けてください。糖尿病網膜症がない場合でも年1回、軽度の単純網膜症があれば半年に1回、進行がある場合は1〜3か月ごとなど、病期に応じて頻度が変わります。内科の担当医・眼科医の指示に沿って、定期的な検査をお続けください。
- Q. 健診で「眼底出血」を指摘されました。どうすれば良いですか?
- A. 眼底出血の背景には糖尿病網膜症・高血圧性網膜症・網膜静脈閉塞症・加齢黄斑変性などさまざまな原因があります。自覚症状がなくても、できるだけ早めに眼科を受診し、原因の特定と治療方針の検討を行うことをおすすめします。健診結果(眼底写真や所見)をお持ちいただくと診察がスムーズに進みます。
- Q. 眼底検査は保険適用ですか?費用はどのくらい?
- A. 症状があり医師が必要と判断した眼底検査は健康保険の適用となります。3割負担の場合、眼底検査・OCT検査を組み合わせて一般的に数百円〜2,000円程度が目安です。検査内容・初診/再診の区別・散瞳剤の使用有無によって変動しますので、詳細は受付・診察時にお気軽にお尋ねください。
