網膜剥離は「時間との勝負」の緊急疾患です
網膜剥離は、放置すると数日〜数週間で失明に至る可能性のある疾患です。特に視野の中心を担う黄斑(おうはん)まで剥離が及ぶ前に手術することが、視力予後を大きく左右します。
次の症状がある方は、様子を見ず、できるだけ早く眼科を受診してください。
・急に飛蚊症(黒い点・糸くず)が増えた
・視界の端に光が走って見える(光視症)
・視野の一部にカーテンや黒い影がかかる
・急激な視力低下
このページの目次
こんな症状・お悩みはありませんか?
- 急に黒い点・糸くずのようなもの(飛蚊症/ひぶんしょう)が増えた
- 視界の端に光が走る・ピカッと閃光が見える(光視症/こうししょう)
- 視野の一部にカーテンや黒い影がかかったように見える
- 片眼を隠すと、視野の一部が欠けて見える
- 視力が急激に低下した
- ものが歪んで見える(変視症/へんししょう)
- 強度近視で、将来網膜剥離になるのではないかと心配
- 健診や他院で「網膜裂孔」「格子状変性」を指摘された
- 家族に網膜剥離の経験者がいる
- 目を強く打った経験があり、その後から見え方がおかしい
これらの症状は、網膜剥離や、その前段階である網膜裂孔のサインの可能性があります。網膜剥離は進行のスピードが速く、早期発見・早期治療が視力予後を決定づけます。気になる症状があれば、自己判断で様子を見ず、できるだけ早く眼底検査を受けてください。
網膜剥離とは?
網膜剥離(もうまくはくり)とは、眼球の内側を覆う薄い神経の膜である網膜が、その土台である網膜色素上皮(もうまくしきそじょうひ)からはがれてしまう病気です。はがれた網膜は光を感知できなくなり、視野が欠ける・見えにくくなるなどの症状を引き起こします。放置すれば剥離範囲は広がり、最終的に失明に至ります。
網膜と硝子体の関係
眼球の中はゼリー状の透明な組織硝子体(しょうしたい)で満たされています。硝子体は眼球の形を保つとともに、内側から網膜を支える役割を担っています。
加齢とともに硝子体は少しずつ縮んで液化し、網膜から離れていきます。これを後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)と呼び、50〜60代以降の多くの方に起こる自然な加齢現象です。
しかし、このとき硝子体が網膜を強く引っ張ると、網膜に裂け目(裂孔)ができることがあります。裂け目から液化した硝子体が網膜の下に入り込み、網膜をはがしてしまう――これが裂孔原性網膜剥離(れっこうげんせいもうまくはくり)です。網膜剥離の中で最も多いタイプで、緊急性の高い疾患です。
網膜剥離で「見えなくなる」仕組み
網膜は、光を感じ取る視細胞(しさいぼう)が並ぶ神経組織で、光を電気信号に変換して脳に伝える「フィルム」の役割を果たしています。視細胞は網膜色素上皮層から酸素や栄養を受け取って機能していますが、網膜がはがれるとこの補給が絶たれ、視細胞は徐々に機能を失います。
はがれたまま時間が経つほど視細胞のダメージは回復しにくくなり、手術で網膜を元の位置に戻せても視力が完全に回復しないケースが増えていきます。特に視野の中心を担う黄斑(おうはん)まで剥離が及んだ場合、黄斑剥離の時間が長いほど視力予後が悪化することが知られています。
ポイント:網膜剥離は「時間との勝負」です。黄斑剥離が起きる前、または黄斑剥離から数日以内に手術することが視力を守る鍵となります。
網膜剥離の種類と原因
網膜剥離は、はがれる仕組みによって大きく3種類に分類されます。種類によって原因・進行スピード・治療法が異なります。
| 種類 | 頻度 | 原因 | 主な治療法 |
|---|---|---|---|
| 裂孔原性 網膜剥離 |
最多 | 後部硝子体剥離や外傷により網膜に裂孔(裂け目)ができ、液化硝子体が網膜下に入り込む | 強膜内陥術(バックリング)/硝子体手術 |
| 滲出性 網膜剥離 |
比較的少ない | ぶどう膜炎・原田病・中心性漿液性脈絡網膜症・脈絡膜腫瘍など、炎症や腫瘍により網膜下に水が漏れ出てたまる | 原因疾患の治療(ステロイド・抗がん治療等) |
| 牽引性 網膜剥離 |
糖尿病に多い | 糖尿病網膜症の増殖膜などが網膜を引っ張って剥離させる | 硝子体手術(増殖膜の切除) |
裂孔原性網膜剥離(れっこうげんせい)
網膜剥離の中で最も多いタイプです。加齢による後部硝子体剥離の際に硝子体が網膜を引っ張って裂孔を作るほか、強度近視・外傷・白内障手術後などがきっかけとなります。裂孔を通じて液化した硝子体が網膜下に入り込み、網膜がはがれていきます。緊急手術の対象となる代表的なタイプです。
滲出性網膜剥離(しんしゅつせい)
網膜に裂け目はないものの、ぶどう膜炎・原田病・中心性漿液性脈絡網膜症・脈絡膜腫瘍などの炎症や腫瘍によって、網膜下に液体が漏れ出てたまる状態です。裂孔原性に比べて頻度は少ないものの、原因疾患の診断と治療が重要です。多くは原因疾患の治療により改善します。
牽引性網膜剥離(けんいんせい)
糖尿病網膜症の増殖期や、網膜静脈閉塞症などで網膜に形成された増殖膜が、硝子体の収縮とともに網膜を内側に引っ張ることで剥離が起きるタイプです。進行はゆるやかなことが多いですが、黄斑まで及ぶと急激な視力低下を招きます。硝子体手術で増殖膜を除去する治療が基本です。
網膜剥離の前兆症状
網膜剥離には、多くの場合前兆となる症状があります。以下の症状を知っておくことで、早期受診・早期治療につながります。
1. 飛蚊症(ひぶんしょう)の急増
明るい場所や白い壁を見たとき、視界に黒い点・糸くず・虫のようなものが浮かんで見える症状です。視線を動かすと一緒に動くのが特徴です。
加齢による生理的な飛蚊症はよくある症状ですが、急に飛蚊症が増えた・大きくなった・形が変わった場合は、後部硝子体剥離に伴う網膜裂孔、または硝子体出血のサインである可能性があります。特に、突然数え切れないほどの黒い点やススが降ってくるように見えるときは要注意です。
2. 光視症(こうししょう)
暗い場所や目を閉じたときに、視界の端に稲妻のような光・閃光が走って見える症状です。網膜が硝子体に引っ張られ、視細胞が機械的に刺激されることで生じます。
光視症は、網膜裂孔・網膜剥離の初期症状として極めて重要なサインです。繰り返し見える、頻度が増えている、視野が欠けてきたといった場合は、速やかに眼科を受診してください。
3. 視野欠損(カーテン様)
視野の一部がカーテンがかかったように見えなくなる症状です。「下から黒い影が上がってくる」「横から幕が寄ってくる」といった表現をされる方が多く、網膜剥離が進行しているサインです。
視野欠損はしばしば剥離した網膜の反対側に現れます。たとえば下方の網膜がはがれると、視野の上方がカーテン状に見えなくなります。片眼を隠して初めて気づくこともあるため、日頃から片眼ずつチェックする習慣が大切です。
4. 急激な視力低下・変視症
黄斑まで剥離が及ぶと、視力が急に低下する・中心が歪んで見える・中心が暗く見えるといった症状が現れます。この段階まで進行した場合、手術で網膜を元に戻しても視力が完全には回復しないことがあります。
重要:飛蚊症・光視症のみの段階(網膜裂孔の時点)で受診できれば、外来でのレーザー治療のみで網膜剥離への進行を防げる可能性があります。視野欠損が出てからでは入院・手術が必要になるケースがほとんどです。
網膜剥離のリスクファクター
網膜剥離は誰にでも起こり得ますが、特に次のような方は発症リスクが高いため、自覚症状がなくても定期的な眼底検査が推奨されます。
強度近視の方
強度近視(一般的に -6D 以上)の方は、眼球が前後に長く伸びているため網膜が薄く引き伸ばされており、網膜裂孔・網膜剥離のリスクが一般の方より高いと報告されています(目安として、一般の方の数倍〜十数倍程度と報告する文献もあります)。網膜周辺部に「格子状変性」という薄い部位ができやすく、そこから裂孔が生じやすくなります。
40〜60代(中高年)
40〜60代は後部硝子体剥離が起こりやすい年代で、裂孔原性網膜剥離の発症頻度が高まります。目安として、日本では年間約1万人に1人が発症するとも報告されており、中高年の視力を脅かす代表的な疾患のひとつです。
眼外傷の既往
目を強く打った経験がある方は、受傷直後だけでなく、数年〜数十年後に網膜裂孔や網膜剥離を発症することがあります。コンタクトスポーツ(ボクシング・サッカー・野球・バスケットボール等)を行う方も同様のリスクがあります。
家族歴
血縁者に網膜剥離の経験者がいる場合、遺伝的に網膜が弱い可能性があり、発症リスクが高くなります。とくに強度近視と家族歴が重なる場合は、自覚症状がなくても年1回の眼底検査をおすすめします。
アトピー性皮膚炎
重度のアトピー性皮膚炎のある若年者は、顔面のかゆみによって無意識に目を強くこすったり叩いたりすることで、若年性の網膜剥離を発症することがあります。10〜30代の比較的若い世代で起こる点が特徴です。
白内障手術後
白内障手術を受けた後は、硝子体の動きが変化することで網膜剥離のリスクがわずかに上昇することが報告されています。特に強度近視の方が白内障手術を受けた後は、術後も定期的な眼底検査が推奨されます。
その他のリスク
- 網膜裂孔・格子状変性の既往
- 片眼が網膜剥離を起こしたことがある(もう片眼の発症リスク上昇)
- 後部硝子体剥離が急激に進行している段階
網膜剥離の検査方法
網膜剥離が疑われる場合、当院では以下の検査を組み合わせて、剥離の有無・範囲・裂孔の位置・視機能への影響を総合的に評価します。すべて痛みを伴わない検査です。
眼底検査(がんていけんさ)
瞳孔を広げる散瞳薬(さんどうやく)を点眼し、瞳孔越しに網膜全体を観察する基本検査です。眼底レンズや倒像鏡を使い、裂孔の位置・剥離の範囲・格子状変性の有無などを医師が直接確認します。
散瞳後は数時間、まぶしさ・近くの見えにくさが続きます。当日の車・バイク・自転車の運転は控えていただきます。可能であればご家族の付き添いや公共交通機関でのご来院をおすすめします。
超広角眼底撮影
通常の眼底カメラよりもはるかに広い範囲(網膜の周辺部まで)を一度に撮影できる検査です。網膜剥離は周辺部から始まることが多いため、超広角撮影は剥離の全体像を把握するうえで極めて有用です。記録として残るため、経時的な変化の比較にも役立ちます。
OCT(光干渉断層計/こうかんしょうだんそうけい)
網膜の断面を非接触で撮影する検査で、ミクロン単位で網膜の層構造を可視化します。黄斑部に剥離が及んでいるかどうかの判定や、網膜下液の量、黄斑浮腫の有無などを精密に評価できます。手術前後の経過観察にも欠かせない検査です。
超音波Bモード検査
硝子体出血などで眼底が見えにくい場合に有用な検査です。超音波で眼球内部を画像化し、網膜剥離の有無・範囲、硝子体の状態、腫瘍の有無などを確認します。瞼の上から検査するため痛みはありません。
そのほかの検査
- 視力検査・屈折検査
- 眼圧検査
- 細隙灯顕微鏡検査
- 視野検査(必要に応じて)
網膜剥離の治療法
網膜剥離の治療は、進行の段階によって大きく異なります。網膜裂孔の段階であれば外来でのレーザー治療で進行を防げますが、網膜剥離まで進んだ場合は入院・手術による治療が必要です。いずれも保険診療の対象となります。
保険診療 網膜剥離の検査・手術はすべて保険診療の対象です。高額療養費制度の対象となる場合も多くあります。
段階別の治療方針
STEP 01 網膜裂孔の段階:レーザー光凝固術(外来)
網膜に裂け目ができているが、まだ網膜がはがれていない段階では、レーザー光凝固術で治療します。裂孔の周囲にレーザーを照射して火傷のような瘢痕(はんこん)を作り、網膜を土台にしっかりと接着させることで、裂孔から液が入り込んで剥離に進行するのを防ぎます。
- 所要時間: 10〜15分程度
- 麻酔: 点眼麻酔
- 入院: 不要(外来で完結)
- 日常生活: 当日からほぼ通常通り可能
STEP 02 網膜剥離の段階①:強膜内陥術(バックリング)
網膜剥離が起きた場合の代表的な手術の一つが強膜内陥術(バックリング手術)です。眼球の外側からシリコンスポンジやバンドを縫い付け、強膜(眼球の白い外壁)を内側にへこませることで、はがれた網膜と眼球壁を再接着させます。
- 主に若年者・軽度〜中等度の裂孔原性網膜剥離に適する
- 水晶体・硝子体に触れないため、白内障の進行リスクが低い
- 入院期間: 一般的に1〜2週間程度
STEP 03 網膜剥離の段階②:硝子体手術
中高年の裂孔原性網膜剥離や、牽引性網膜剥離、黄斑まで及んだ剥離などに対して行われる手術です。小さな切開孔から硝子体カッターを眼内に挿入し、硝子体を除去してから網膜を元の位置に戻し、裂孔周囲をレーザーで固めます。手術の最後にガスやシリコンオイルを眼内に注入し、内側から網膜を押さえて接着を促します。
- 広範囲の剥離・複雑な剥離・黄斑円孔網膜剥離などに適する
- ガスが抜けるまでうつ伏せ姿勢(腹臥位)などの体位制限が必要
- ガス注入中は飛行機搭乗・高所移動に制限がかかる
- 入院期間: 一般的に1週間前後
手術方法の選択について:どの術式が適するかは、剥離の範囲・裂孔の位置と数・年齢・水晶体の状態・他の眼疾患の有無などを総合的に判断して決定します。当院では必要に応じて、網膜硝子体手術を専門とする連携病院と密接に協力し、迅速な治療につなげる体制を整えています。
当院の対応について
当院(相模原眼科)では、院長 岡野喜一朗(日本眼科学会 眼科専門医)が網膜剥離の診断・網膜裂孔段階のレーザー治療を行っています。網膜剥離まで進行し手術が必要と判断した場合は、迅速に網膜硝子体手術の可能な連携病院へご紹介し、術後のフォローアップを当院で継続する体制を整えています。
「飛蚊症が急に増えた」「光視症が続く」「視野が欠けてきた」など、網膜剥離が疑われる症状がある方は、当日の診察枠を優先的にご案内しますので、まずお電話でご相談ください。
網膜剥離を放置するリスク
- 失明(しつめい):剥離を放置すれば、数週間〜数ヶ月で網膜全体がはがれ、視細胞が機能を失います。最終的に光の有無も分からなくなる失明状態に至ります。
- 黄斑剥離による視力回復困難:黄斑(中心視力を担う部位)まで剥離が及ぶと、手術で網膜を元に戻しても視力が完全には回復しないことが多くなります。
- 発症後72時間〜1週間が勝負:特に黄斑剥離が起きる前、または黄斑剥離直後の早期手術が視力予後を大きく改善します。時間が経つほど視細胞のダメージが固定化していきます。
- 増殖性硝子体網膜症(PVR)への進行:放置により網膜表面に増殖膜が形成されると、単純な手術では治せない難治性の状態(PVR)になり、複数回の手術が必要になる場合があります。
- 反対側の眼の発症リスク:片眼が網膜剥離を起こした方は、もう片眼の発症リスクも通常より高くなります。両眼を失明から守るためにも早期治療が不可欠です。
- 続発性合併症:長期にわたる網膜剥離は、眼球癆(がんきゅうろう。眼球が萎縮する状態)、続発緑内障、眼内炎などを引き起こす可能性があります。
網膜剥離は「様子を見ていれば治る」病気ではありません。受診の遅れが直接、視力の喪失につながる疾患である点をご理解ください。
受診のタイミング
次の症状があればすぐに眼科を受診してください
- 飛蚊症が急に増えた・大きくなった・形が変わった
- 視界の端に光(稲妻・閃光)が繰り返し見える(光視症)
- 視野の一部にカーテン・黒い影がかかる
- 片眼を隠すと視野の一部が欠けて見える
- 急激な視力低下・視界が急に暗くなった
- ものが急に歪んで見える
症状が出たら「翌日以降」ではなく「その日のうち」に
網膜剥離は時間単位で進行することがあります。特に黄斑が剥離する前の段階で手術できるかどうかが、視力予後を大きく左右します。「明日になっても症状が続いていたら行こう」ではなく、症状に気づいたその日のうちに眼科へご連絡ください。
当院診療時間外の場合は、お近くの夜間救急対応医療機関・大学病院の救急外来・#7119(救急安心センター事業)にご相談ください。週末や夜間に症状が出た場合も、翌朝の開院時間を待たずに救急受診を検討してください。
当院の受診予約
- お電話:042-705-3101(「網膜剥離の症状があります」とお伝えください。当日診察をご案内します)
- WEB予約:https://ssc.doctorqube.com/sagamiharaganka/
- LINE予約:https://lin.ee/OiVSApF
手術後の経過・注意点
網膜剥離手術の後は、網膜がしっかり接着し視機能が安定するまで、一定期間の生活制限と定期通院が必要です。術式によって注意点が異なるため、主治医の指示を必ず確認してください。
体位制限(硝子体手術でガス注入した場合)
手術中に眼内にガスやシリコンオイルを注入した場合、うつ伏せ姿勢(腹臥位)や特定の向きを維持する必要があります。ガスが内側から網膜を押さえて接着を助けるためで、体位制限は通常数日〜1週間程度続きます。眠るときの姿勢にも制約があるため、事前に専用枕などの準備をおすすめします。
飛行機・高所の制限(ガス注入後)
眼内にガスがある期間は、気圧の変化によりガスが膨張し、眼圧が急上昇して失明につながる恐れがあります。ガスが完全に吸収されるまで(通常2〜6週間)、飛行機搭乗・標高の高い山岳地への移動・高圧酸素療法は禁止されます。
日常生活の再開時期(目安)
- 洗顔・洗髪:術後数日〜1週間は目に水が入らないよう注意。術後2週間以降は通常通り可
- デスクワーク:術後1〜2週間目から段階的に再開
- 軽い運動・散歩:術後1ヶ月頃から
- コンタクトスポーツ・激しい運動:術後2〜3ヶ月以降、医師の許可を得てから
- 車の運転:視力回復後、医師の許可を得てから
合併症と経過のポイント
- 白内障の進行:硝子体手術後は白内障の進行が早まる傾向があり、将来的に白内障手術が必要になることがあります
- 眼圧上昇:一過性に眼圧が上がることがあり、点眼薬でコントロールします
- 網膜再剥離:まれに再剥離が起こり再手術が必要になる場合があります(特に増殖性硝子体網膜症に進行した場合)
- 視力の回復過程:網膜が接着しても視力の回復には数ヶ月かかる場合があり、完全に元通りになるとは限りません
定期通院の重要性
術後は、翌日・1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後・半年後など、定期的な経過観察が必要です。当院では連携病院で手術を受けられた方の術後フォローアップも担当します。異常の早期発見・眼圧管理・視力経過の確認を丁寧に行います。
よくあるご質問(FAQ)
- Q. 網膜剥離は自然に治りますか?
-
A. 裂孔原性網膜剥離は自然に治ることはなく、手術治療が必須です。放置すれば剥離範囲は広がり、最終的に失明に至ります。一方、滲出性網膜剥離(ぶどう膜炎・原田病などが原因)は、原因疾患の治療により改善する場合があります。いずれにしても自己判断せず、速やかに眼科を受診してください。
- Q. 網膜剥離の手術はどのくらいの成功率ですか?
-
A. 初回手術での網膜復位成功率は、一般的に90%以上と報告されています。ただし、黄斑部まで剥離が進行した後では視力の完全回復が難しい場合があり、発症から手術までの時間が視力予後に大きく影響します。複雑な剥離や増殖性硝子体網膜症へ進行したケースでは、複数回の手術が必要になることがあります。
- Q. 飛蚊症が急に増えたら必ず網膜剥離ですか?
-
A. 必ずしも網膜剥離とは限りません。多くは後部硝子体剥離という加齢性の変化で、病気ではないケースもあります。しかし、飛蚊症の急激な増加・光視症の併発・視野の欠けなどは網膜裂孔や網膜剥離の初期症状である可能性があります。自己判断せず、できるだけ早く散瞳眼底検査を受けてください。裂孔の段階であれば外来のレーザー治療で網膜剥離への進行を防げる可能性があります。
- Q. 強度近視だと網膜剥離になりやすいですか?
-
A. はい、強度近視(一般的に -6D 以上)の方は眼球が前後に長く伸びており、網膜が薄く引き伸ばされています。そのため網膜裂孔や網膜剥離のリスクが一般の方より高いと報告されています(目安として、一般の方の数倍〜十数倍程度と報告する文献もあります)。強度近視の方は自覚症状がなくても年1回の眼底検査、症状があればすぐに受診されることをおすすめします。
- Q. 網膜剥離の手術は保険適用ですか?費用はどのくらいかかりますか?
-
A. 網膜剥離の検査・レーザー治療・強膜内陥術・硝子体手術はすべて保険診療の対象です。3割負担の場合、入院・手術合わせて概ね10〜30万円前後が目安ですが、高額療養費制度を利用することで自己負担額をさらに軽減できるケースが多くあります。詳細は手術を行う医療機関にご確認ください。
- Q. 手術後に運動や仕事はいつから再開できますか?
-
A. 術式や状態により異なりますが、一般的にはデスクワークは術後1〜2週間、軽い運動は術後1ヶ月、コンタクトスポーツなど激しい運動は術後2〜3ヶ月以降が目安です。硝子体手術でガス注入を行った場合は、ガス吸収までの数週間、飛行機搭乗・高所移動は禁止されます。復帰時期については必ず主治医の指示を確認してください。
- Q. 片眼が網膜剥離になりました。もう片眼も危ないですか?
-
A. 片眼が網膜剥離を起こした方は、もう片眼の発症リスクが通常より高いと報告されています。反対側の眼にも格子状変性や網膜裂孔が見つかることが多く、予防的にレーザー治療を行う場合もあります。片眼の治療が終わった後も、定期的に両眼の眼底検査を受けることが大切です。
- Q. 受診時に家族の付き添いは必要ですか?
-
A. 初診で散瞳眼底検査を行うため、検査後は数時間まぶしさ・近くの見えにくさが続きます。車・バイク・自転車の運転は当日お控えいただくため、ご家族の送迎や公共交通機関でのご来院をおすすめします。網膜剥離と診断され手術が必要と判断された場合、紹介先の病院への移動や入院手続きなどにも付き添いがあると安心です。
飛蚊症・光視症・視野欠損にお気づきの方へ
網膜剥離は早期発見・早期治療が視力を守るカギです。「まだ大丈夫」と自己判断せず、
気になる症状があればその日のうちにご連絡ください。当日の診察枠を優先的にご案内します。
〒252-0001 神奈川県座間市相模が丘5-6-19
小田急線 小田急相模原駅 南口 徒歩約5分
診療時間: 月火木金土日 9:30〜13:30 / 15:00〜17:30(水曜休診、土日午後は手術)