相模原眼科

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眼瞼下垂とは

目次
当院眼科専門医が監修・執筆|最終更新日: 2026年6月5日(2026年6月時点の情報)|参考: 日本眼科学会ガイドライン・厚生労働省医療広告ガイドライン

眼瞼下垂(がんけんかすい)とは

眼瞼下垂とは、上まぶたを持ち上げる「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」という筋肉や、その腱膜(けんまく)が弱まり、まぶたが通常よりも下がった状態を指します。目の開きが不十分になることで視野が狭くなり、さまざまな身体的不調を引き起こす疾患です。
正常なまぶたでは、目を正面に向けたとき、上まぶたは黒目(角膜)の上端から1〜2mm程度のところに位置します。眼瞼下垂では、このまぶたが正常位置より2mm以上下がった状態が持続します。
まぶたのことを医学的に「眼瞼(がんけん)」、下がることを「下垂(かすい)」といい、合わせて「眼瞼下垂」と呼びます。
眼瞼下垂 まぶたが下がった状態のイメージ・相模原眼科

眼瞼下垂は「まぶたが少し下がっているだけ」と見過ごされがちですが、視野が狭まることで日常生活に多くの支障をきたします。おでこに力を入れて目を開けようとする「代償動作」が頭痛・肩こり・眼精疲労の原因となることも多く、早期の診断と対処が重要です。

種類 主な特徴 対象年齢
加齢性(後天性腱膜性) 挙筋腱膜が加齢で伸び・緩む。最も多い 40〜50代以降
先天性 生まれつき挙筋の発育不全。弱視・斜視に注意 乳幼児〜小児
神経性 動眼神経麻痺・ホルネル症候群など 全年齢
コンタクト関連 ハードコンタクト長期装用で腱膜が傷む 20〜40代にも増加

眼瞼下垂の症状と原因

眼瞼下垂の症状 まぶたの開きが左右で異なる状態の例

眼瞼下垂は「加齢のせい」「目の疲れ」と見過ごされがちですが、放置すると日常生活のQOLに大きく影響します。以下の症状に心当たりがある方は、眼科での検査をおすすめします。

セルフチェックリスト
  • まぶたが重たく、目を大きく開けにくい
  • 上方(天井・高い棚)が見えにくい・視野が狭く感じる
  • 目を開けるとき、無意識におでこに力を入れている
  • おでこの横じわが増えてきた
  • 眼精疲労・頭痛・肩こりが続いている
  • 左右でまぶたの開き具合が違う
  • 写真を見ると目が半開きになっている
  • コンタクトレンズを長年(10年以上)使用している
3つ以上当てはまる方は、眼瞼下垂の可能性があります。

眼瞼下垂の主な原因は以下のとおりです。最多は加齢ですが、若い世代でもコンタクトレンズの長期使用が原因となるケースが増えています。
  • 加齢
    挙筋腱膜が薄くなり、まぶたへの力の伝達が弱まる(最多)
  • コンタクトレンズ長期装用
    特にハードコンタクトの着脱時の刺激が腱膜を傷める
  • 先天性
    生まれつき挙筋の発育不全
  • 眼の手術・外傷
    白内障手術・硝子体手術後の続発性
  • 神経・筋肉疾患
    動眼神経麻痺・重症筋無力症・ホルネル症候群など
  • まぶたの炎症・腫瘍
    霰粒腫・眼瞼腫瘍・皮膚弛緩症など
※個人の症状は診察で判断いたします。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。

加齢性眼瞼下垂の詳細 — なぜ歳を取るとまぶたが下がるのか

眼瞼下垂の約70〜80%は「加齢性(後天性腱膜性)眼瞼下垂」です。エイジングによってまぶたに何が起きているのかをご説明します。
加齢性眼瞼下垂 皮膚弛緩によるまぶたのたるみ模式図

① 皮膚の弛緩(たるみ)
年齢を重ねると皮膚のコラーゲン・エラスチンが減少し、上まぶたの皮膚がたるんで下がってきます。これが眼瞼下垂と混同されやすい「皮膚弛緩性眼瞼下垂(仮性眼瞼下垂)」です。真の眼瞼下垂とは別ですが、同時に起こることも多く、診断には専門医による検査が必要です。

眼瞼下垂 模式図 挙筋腱膜と瞼板の仕組みを示す解剖イラスト

② 眼瞼挙筋腱膜の弱化・離断
上まぶたを引き上げる眼瞼挙筋は、その末端部分(腱膜)がまぶたの板(瞼板)に付着することで機能します。加齢・長年のコンタクト使用・目をこする癖などにより、この腱膜が伸びたり板から離れたりすることで、筋肉の力がまぶたに伝わらなくなります。これが加齢性眼瞼下垂の主たるメカニズムです。

③ QOL(生活の質)への影響
症状 日常生活への影響
視野狭窄(上方が見えにくい) 段差の見落とし・運転時の安全確認困難
おでこ・眉毛を上げる代償動作 前頭部の緊張→頭痛・頭重感の慢性化
首を反らして見る姿勢 肩こり・頸部痛の慢性化
目の疲れ・眠そうに見られる 集中力低下・社会的印象への影響
あごを上げる姿勢(あご上げ頭位) 腰痛・転倒リスクの増加
放置リスクについて
眼瞼下垂は自然に治ることはありません。特に子供の先天性眼瞼下垂は、まぶたが瞳孔にかかることで光の入力が妨げられ、弱視・斜視の原因になります。早期(就学前)の治療が視力発達に大きく影響するため、気になった場合は早急に眼科を受診してください。

眼瞼下垂の検査

眼瞼下垂の診断は、以下の検査を組み合わせて行います。すべて痛みを伴わない検査です。初診の所要時間は60〜90分程度です。
  • 視力検査・屈折検査
    基本的な視力と屈折の状態を測定します。先天性の場合は弱視の有無を確認します
  • MRD測定(眼瞼下垂度の測定)
    瞳孔中央から上まぶた縁までの距離(MRD)を測定し、下垂の程度を数値で評価します。正常値はMRD1≧3mmです
  • 挙筋機能検査
    まぶたを下方に固定した状態から上方に動かせる距離を測定します。挙筋機能が低い場合は手術法の選択に影響します
  • 視野検査
    上方視野の欠損程度を確認します。保険適用の判断基準にもなるため、手術を検討する方には必須の検査です
  • 細隙灯顕微鏡検査
    まぶたの状態・角膜・前眼部を顕微鏡で確認します。二次的な角膜障害の有無も確認します
※個人の症状は診察で判断いたします。検査内容は状態によって異なる場合があります。

眼瞼下垂の治療方法(手術療法・非手術療法)

眼瞼下垂の根本的な治療は手術です。ただし、原因や重症度によって方針が異なります。

手術療法

  • 挙筋腱膜修復術(RP法)
    緩んだ挙筋腱膜を瞼板に再固定する手術です。腱膜性眼瞼下垂に最も多く行われ、自然なまぶたの動きを回復します。局所麻酔・日帰り対応。
    ※視野検査で機能障害が認められる場合は保険適用となります
  • 前頭筋吊り上げ術
    挙筋機能が著しく低下している先天性眼瞼下垂などに行われます。おでこの前頭筋とまぶたを筋膜やシリコンロッドで吊り上げます
眼瞼下垂手術 挙筋腱膜修復術(RP法)のイメージ・相模原眼科

手術の目安
片眼あたり約30〜60分・局所麻酔(点眼麻酔+皮下注射)・日帰り手術対応。
術後1〜2週間は腫れがありますが、完全に落ち着くまで1〜3ヶ月かかります。仕事への復帰は手術翌日〜数日が目安です。

非手術療法

眼瞼下垂 切らない手術(埋没法・非切開法)の説明イラスト

軽度の場合や、神経性眼瞼下垂で原因疾患が治療中の場合は、以下の対応が選択されることがあります。

  • 眼瞼下垂用の眼鏡フレーム・テープ
    まぶたを物理的に支える補助具。手術前の一時的な対応として
  • 原因疾患の治療
    重症筋無力症・動眼神経麻痺などは原因治療が優先
  • 経過観察
    先天性の軽度で弱視リスクが低い場合は定期的な経過観察

眼瞼下垂の治療費(保険適用・費用負担について)

眼瞼下垂手術の費用は、保険適用になるかどうかで大きく異なります。

保険適用について

以下の条件を満たす場合は保険診療の対象となります。
  • 視野検査で上方視野が一定以上欠損していることが確認できる
  • 眼瞼下垂による機能的障害(視野障害・生活への支障)が認められる
  • 先天性眼瞼下垂で弱視・斜視の予防目的
美容目的のみの場合は自由診療となります。費用の目安・保険適用の判定は診察時に詳しくご説明します。詳細は眼瞼下垂手術ページをご参照ください。
※保険適用の可否は視野検査等の結果により個別に判断いたします。個人の症状は診察でご確認ください。

予防・日常生活ケア

眼瞼下垂は完全に予防することは難しいですが、進行を遅らせるための日常的なケアは可能です。
  • 目を強くこすらない
    花粉症・アレルギーで目がかゆくても、強くこすると腱膜が傷みます。目薬で対応しましょう
  • コンタクトレンズの適切な使用
    ハードコンタクトを長年使用している方は、ソフトコンタクトへの切り替えや眼鏡との併用を検討してください
  • 目元の保湿・やさしいケア
    メイク・クレンジング時の摩擦も腱膜へのダメージになります
  • 目元エクササイズ(補助的ケア)
    ゆっくり目を大きく開けて3秒キープ×10回を1日2〜3セット。ただし過度な力は逆効果になる場合があります
  • 市販のまぶたテープに注意
    長期使用はまぶたの皮膚を引っ張り続けることになり、腱膜にダメージを与える可能性があります
  • 定期的な眼科受診
    40歳以降は症状がなくても年1回の眼科検診を。初期の気づきが早期対応につながります

監修医師プロフィール

相模原眼科 院長・眼科専門医
MEDICAL SUPERVISOR · 監修医師
相模原眼科 院長
日本眼科学会認定 眼科専門医。白内障・緑内障・網膜疾患に加え、眼瞼下垂手術にも対応。眼科的な視点から機能回復を重視した治療を行っています。視野改善・頭痛・肩こりの軽減など、生活の質(QOL)向上を目標とした診療方針です。

所属学会: 日本眼科学会 / 日本臨床眼科学会 / 日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)

よくあるご質問

眼瞼下垂について、患者さまからよくいただくご質問にお答えします。個別の症状や治療方針については、診察時に担当医師までお気軽にご相談ください。
Q. 眼瞼下垂とはどんな病気ですか?
A. 眼瞼下垂とは、上まぶたを持ち上げる「眼瞼挙筋」という筋肉やその腱膜が弱まり、まぶたが正常な位置より下がった状態を指します。視野が狭くなったり、おでこに力を入れてまぶたを持ち上げようとするため、頭痛・肩こり・疲労感を引き起こすこともあります。眼瞼下垂は自然に治ることはないため、早めの受診をおすすめします。
Q. 眼瞼下垂の主な原因は何ですか?
A. 最も多い原因は加齢による挙筋腱膜の緩みです(加齢性眼瞼下垂)。次いで、コンタクトレンズの長期装用、眼の手術後の続発性、先天的な筋肉の発育不全(先天性)、動眼神経麻痺などの神経系疾患が挙げられます。若い方でもハードコンタクトの長期装用が原因で発症するケースが増えています。
Q. 放置するとどうなりますか?
A. 放置すると視野狭窄が進み、日常生活に支障をきたします。おでこで代償しようとするため頭痛・肩こりが慢性化します。子供の先天性眼瞼下垂は弱視の原因になるため、特に早期治療が重要です。いずれの場合も自然治癒しないため、早めの受診をおすすめします。
Q. 手術は保険適用になりますか?
A. 視野検査で上方視野の欠損が確認できるなど、機能的障害が認められる場合は保険適用となります。美容目的のみの場合は自由診療となります。当院では視野検査から保険適用の判定まで院内で完結しますので、診察時に詳しくご説明します。
Q. 手術後の回復はどのくらいかかりますか?
A. 術後1〜2週間は腫れがあり、完全に落ち着くまで1〜3ヶ月かかることがあります。仕事への復帰は手術翌日〜数日が目安ですが、腫れが気になる方は1週間程度お休みを取られる方が多いです。
Q. コンタクトレンズが原因の眼瞼下垂はどう対処しますか?
A. ハードコンタクトレンズの長期使用による「コンタクト関連眼瞼下垂」は、コンタクトをやめるだけでは改善しないことが多く、手術が必要な場合があります。まずは眼科で挙筋機能・視野検査を受けてください。
Q. 子供のまぶたが下がっています。受診は必要ですか?
A. 先天性眼瞼下垂は弱視・斜視の原因となるため、早期受診・早期治療が非常に重要です。片目が極端に下がっている、左右差が明らかな場合はできるだけ早く眼科を受診してください。就学前の治療が視力発達に大きく影響します。
Q. 検査は痛みがありますか?
A. 眼瞼下垂の診断に用いる視野検査・MRD測定・細隙灯検査はいずれも痛みを伴いません。初診から診断までの所要時間は60〜90分程度です。